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そこまではおぼえている
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Published: September 12 2013
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池田拓馬

いつからだったのか、その街では新しい高層マンションの建設が進んでいた。

新たに生まれ変わろうとするそこは、現実的で意欲的なエネルギーに満ち、かつてその場所に何があったのか、そこに誰が居たのかを思い出す手がかりは、すでに残っていないように思えた。

私たちは日々の生活の中で一体どれだけのものを見聞きし、どれだけのものを忘れていくのだろう。毎日当たり前のようにたくさんの情報に晒されながら生きる私たちにとって、それらを上手に忘れていくことが、日常からはみ出さずに生きるひとつの術なのかもしれない。しかしふとした瞬間に感じる、前ここに何があったか思い出せない、どうなっていたか思い出せない、という感覚には、それが纏っていた空気なのか、そこに広がっていた背景なのか、微かな手がかりをたぐり寄せようとすることで、そこにあった「何か」を逆説的に顕現させる力がある。そしてその姿勢は、時間軸を越えて、私たちがまだ見たことのない未来を想像することと、さほどの違いはないのかもしれない。

本展覧会は、人物、物質、場所といった表現モチーフの異なる作家が集まり、パフォーマンスを介してそれぞれの作品に「痕跡」を残す。私たちが日々を繰り返す中で、忘れ去ったもの、はじめから知らなかったこと、まだ知らないこと、これからも知り得ないこと。

出会っていない人、出会うことのない人。世界を形づくるものが「在る」から「無い」に反転したとき、私たちは、何かを忘れていたことを思い出せるだろうか。

【お知らせ】
「そこまでは おぼえている」展に出展予定となっておりましたマツダアキコは、事情により参加を辞退いたしました。誠に申し訳ございませんがご理解の程宜しくお願い致します。
また、パフォーマンスにつきましては現在調整中ですので決まり次第ご案内させていただきます。
詳しくはアキバタマビ21のウェブサイト(http://akibatamabi21.com/)をご確認ください。

[作家プロフィール]
●池田拓馬 Takuma Ikeda
現代美術作家

1983年 神奈川生まれ
2007年 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業
2009年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了
2006年 インドネシアジャワ島中部地震後のレジデンス(ジョグジャカルタ)を切っ掛けに「今いるここはどこなのか」という問いを元にした制作を開始する。扉をモチーフにしたインスタレーション、夜景をコラージュした映像作品を制作。

〈グループ展〉
2012年「きのうあったことについて」(AI KOWADA GALLERY)
TERATOTERA祭り@西荻窪「西荻映像祭-TEMPO de ART-」
「入る旅人出る旅人」(新宿眼科画廊)
2013年「ハイパーノンフィクション」(小金井アートスポットシャトー2F)

〈受賞歴〉
2012年 群馬青年ビエンナーレ入選

〈作家コメント〉
「今いるここはどこなのか」という問いをもとに、扉をモチーフにしたインスタレーション、夜景をコラージュした映像作品を制作しています。



●濵田路子 Michiko Hamada
1985 東京都生まれ
2012 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻版画領域修了

〈グループ展〉
2006 平和展(世田谷美術館)
醜女雨林展(多摩美術大学)
2007 地下一階喫煙所展(多摩美術大学)
「ときめき☆鑓水ランデヴー」(鑓水青年美術館)
2008 写真スライドショー『生』(アップルストア銀座)
12本のCord展(多摩美術大学情報デザイン棟・芸術学2棟ギャラリー)
12本のCord展(ギャラリーQ銀座)
2009 HANGA EXPRESS(新宿プロムナードギャラリー)
市民公募夢美エンナーレ入選作品展2009(八王子市夢美術館)
2010春陽展(国立新美術館)
トーキョーワンダーウォール公募2010入選作品展(東京都現代美術館)
2011市民公募夢美エンナーレ入選作品展2011(八王子市夢美術館)
濵田路子井崎菜々二人展
知らないひと(galleria grafica bis/銀座)
第05回山本鼎版画大賞展(山本鼎記念館/長野)
第79回版画展(京都市美術館)
2012 第11回南島原市セミナリヨ版画展(南島原市ありえコレジヨホール)
第80回版画展(東京都美術館)
2013 第11回多摩美術大学版画家OB展【札幌】(さいとうギャラリー/札幌)
第16回鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞展(鹿沼市文化交流館)

〈個展〉
2008 MEN’S PORTRAIT展(ビジュアルアーツギャラリー東京)
2010 濵田路子展
―人々―(COEXIST&Ouchi Gallery NY/東京)
2012 濵田路子展
YOUANDIANDI(galleria grafica bis/銀座)



●吉田理沙 Risa Yoshida
1985 東京都生まれ
2010 多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業
2012 多摩美術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了

〈グループ展〉
2007 木との語らい(聖路加国際病院/東京)
ART IN TAMAGAWA WITH TAMABI(玉川高島屋)
多摩美術大学彫刻展(八王子いちょうホール)
2008 ミクロマクロ
二人展(金魚カフェ/東京)
日米美術学生展in NY
2008(Ise Cultural Foundation/ニューヨーク)
2010 東京五美術大学卒業・修了制作展(国立新美術館)
¥or♡(多摩美術大学アーケードギャラリー)
2011 しばる×しばられる(ギャラリー檜B・C/東京)
鬼の居ぬ間に選択(多摩美術大学彫刻棟ギャラリー)
EXHIBITION C-DEPOT GRAVITY(青山スパイラル)
2012 東京五美術大学卒業・修了制作展(国立新美術館)
群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館)

【イベント】
・オープニングパーティ 
9月21日(土)18:00~

・参加作家によるギャラリートーク
9月29日(日)17:00~ 

・現在企画中
10月6日(日)・20日(日)いずれも17:00~

・トークショー  
「ここからはおぼえがない―時間、空間、状況」
10月12日(土)18:00~19:30
ゲスト:梅津元(埼玉県立近代美術館主任学芸員/芸術学)
本展のテーマと出品作品を具体的な事例として、ゲストと参加作家がディスカッションを行います。「そこまではおぼえている」を起点に、
時間の記憶、空間の記憶、状況の記憶をめぐる議論を深めながら、「ここからはおぼえがない」未知の領域へと迫ります。

「“忘れている/憶えている”について」
10月19日(土)17:00~18:00 
ゲスト:吉川陽一郎(多摩美術大学非常勤講師)
鑑賞者が大きく介入する彫刻作品を作る吉川陽一郎氏をゲストに招き、参加作家とともにトークイベントを行います。

※「そこまでは おぼえている」展に出展予定となっておりましたマツダアキコは、事情により参加を辞退いたしました。
誠に申し訳ございませんがご理解の程宜しくお願い致します。また、パフォーマンスにつきましては現在調整中ですので決まり次第ご案内させていただきます。 詳しくはアキバタマビ21のウェブサイト(http://akibatamabi21.com/)をご確認ください。

全文提供:アキバタマビ21


会期:2013年9月21日(土)~2013年10月27日(日)
時間:12:00~19:00(金・土は20:00 まで)
休日:火
会場:アキバタマビ21

Last Updated on September 21 2013
 

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