杵島隆:日本の四季 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 30日 |
日本の広告写真のパイオニア、蘭写真の第一人者、「桜田門外の変」とも称されたヌードフォトの数々。様々な活動で知られ、本年2月に亡くなった杵島隆さんの作品を展示します。「日本の四季」と題されたこのシリーズは、カラーフィルムとソフトフォーカスを組み合わせ、日本人の情感や風土を現そうと試みたシリーズで、1990年から2000年頃にかけて制作していたものです。そのうちのいくつかは、印画紙を和紙に表装したものがあり、ニューヨークで展示され話題を呼びましたが、国内では殆ど発表されたことがありません。この時期の杵島さんは、歌舞伎や文楽、着物に桜などの写真を数多く撮影し伝統的な日本のかたちを著作にまとめる仕事に没頭していた一方で、故郷鳥取をはじめ、九州、奈良、新潟、そして新宿御苑など、各地を訪れては撮影を繰り返していたのです。 自然の懐へ素直に入り込むような景色によって、写真を見る私たちは、何かをささやきかけてくるように感じます。アメリカ日系2世に生まれ、日本人としてのアイデンティティを求めて特攻隊に志願するなど、日本民族と日本人の間で歯がゆい思いをした杵島さん。本人の胎内回帰に近い記憶がこのような世界を撮らせたのではないかとも思えます。本作は、島さんが愛してやまなかったこの国の理想郷、残したい日本の四季の風景と解釈するべきなのかもしれません。 本展は、和紙に表装した貴重なビンテージプリントを中心に、多彩な仕事を残す杵島さんの側面を小規模ながらも濃密に紹介するものです。 杵島隆 個展 「裸」「砂の伝説」「蘭」「義経千本櫻」「菅原伝授手習鑑」「裸・1945~1960」 「杵島隆展。」ほか多数。 全文提供: ルーニィ247フォトグラフィー 会期: 2011年9月27日(火)~2011年10月9日(日) |
最終更新 2011年 9月 27日 |