ジョナス・ウッド |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 3月 12日 |
ロサンゼルス在住の若手アーティスト、ジョナス・ウッドの日本で初となる個展。 ジョナス・ウッドは、静物や風景、家族の肖像や彼自身が大好きであるスポーツ選手のポートレイトを題材に作品を描いています。その特徴的な平面性や傾いた遠近感、画面の隅々に至るまで配慮された色彩や形は、古典的な題材をもとに描かれているにも関わらず、秩序に捕らわれることなく軽やかに一つの画面に収束していきます。 その画風を決定づけるのは、作品を制作する前につくるコラージュにあります。日常生活の中で撮られた写真やスケッチ、スポーツ選手等の広告を切り抜き、組み合わせ、空間的なレイアウトを作ります。それを土台に作品を制作するのです。既にあるイメージを一度ばらばらにし、再び新たなイメージとして築き上げることで、見慣れたはずの人々や光景がいびつな空間の中で一つにまとまり、危ういバランスを魅力的に演出しているのです。また今回の展示では黒を基調としたモノトーンの静物を描いています。その手法は、黒く染めた紙の上に明るい色で形を浮き上がらせていくというものです。もともとドラマチックな明暗のバランスを持ち込まないウッドの作品において、この実験的な手法は彼の鋭い平面性を一層際立たせます。 ウッドの絵画の魅力は、生き生きとした色彩や形が親しみやすく、非常に好感のもてる作品となっていることです。もしくは安心感という言葉の方が適切であるかもしれません。しかし同時にその徹底された画面構成からは、本当のオリジナリティとは自らが純粋に選んだものを、愛情をもって丹念に作り上げることでしか生まれないということに気づかされるのです。 ジョナス・ウッド Jonas Wood ※全文提供: ギャラリーミンミン |
最終更新 2009年 4月 15日 |