ステラーク×コンタクト・ゴンゾ-BODY OVERDRIVE- |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 10月 25日 |
近代化された都市の生活において、「生身の身体」を意識する機会はあまり多いとは言えません。身体があるというごく単純な事実は、痛みや心地よさといった強い印象を伴う感覚や、他者とのコミュニケーションを通してあらためて発見されることが増えているように感じます。ベテランと若手作家が対峙し交流を行う今年度の新インキュベーション展では、そのような、「生身の身体」を強く意識し活動を続ける今回の2 組のアーティスト、ステラークとコンタクト・ゴンゾをご紹介します。 ステラークは、20 年近く日本を拠点に活動を続けた後、現在は、母国オーストラリアを拠点に世界各地で活躍しています。彼はこれまでも自分自身の身体をメディアとした作品を発表し、日本では80 年代から90 年代にかけて全身の皮膚に金属片を埋め込み磁力によって吊り下げられるというパフォーマンスで注目を浴びました。その後は身体の機能を機械的な装置を使って拡張する作品を多数発表し、現在は、手術によって自身の腕に軟骨を埋め込み、耳の形になるように細胞を育てている途中です。何故そのような取り組みを、という質問に「これまで外部機器となる作品を使ってパフォーマンスを行ってきましたが、もっと、皮膚や細胞からなる自分の身体に直接的に追加機能を加えたいと考えました。」と答えています。また私達からすると、奇妙とも思えるようなこの行為について彼は次のように述べています。「芸術は、観客を不確実で不安定にさせるもの。それは身体と世界の快適な概念を浸蝕するものでなければなりません。芸術は、単に答えを与えるものでなく、答えを生み出すものであるべきです。」今回の展示では、外部機器的な要素を持つ近年の代表作「Extended Arm(拡張された腕)」と、腕の手術の様子を収めた映像作品などがご覧いただけます。 もう一組、コンタクト・ゴンゾも若手ながら、世界各地で活躍するグループです。〈コンタクト・ゴンゾ〉という、殴る、蹴る、叩くなどの行為を取り入れたメソッドを編み出し、パフォーマンスを行っています。人と人が接触すること、現在におけるその技法を模索する彼らの作品やパフォーマンスは、世界の仕組みを考えるためのメディアであるのかもしれません。殴ったり蹴ったりとそれは一見、暴力的で粗野な行為に映るかもしれませんが、彼らのパフォーマンスから感じられるのは恐怖や嫌悪感ではなく、むしろそれらは人が生きるための自然な行為であるという思いです。当たり前のことを淡々とやることで、その場所を取り巻く世界が透けて見える不思議。ただ友好的に手をつなぐよりも、それは、強い印象を持って私たちの目の前に現われるでしょう。彼らは日常的に骨折したり擦りむいたりと野生的な活動を送っていますが、今回は更に自然の持つ空気感を身に纏うため会期中に行うパフォーマンスの前には「山に登る」とのこと。展示される新しい作品は「音」に重点を置いたもので、これまでとは違った新しい境地に挑みます。ご期待ください。 Stelarc(ステラーク) http://v2.stelarc.org/ contact Gonzo(コンタクト・ゴンゾ) http://contactgonzo.blogspot.com/ ■会期中関連企画■ ※全文提供: 京都芸術センター 会期: 2010年10月30日(土)-2010年11月28日(日)10:00-20:00 会期中無休 |
最終更新 2010年 10月 30日 |