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工房集 佐々木省伍・齋藤裕一 二人展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 1月 24日

佐々木省伍《 ドーナツ 》 画像提供:マキイマサルファインアーツ copy right(c) Syougo SASAKI

齋藤裕一《ドラえもん》 画像提供:マキイマサルファインアーツ copy right(c) Yuichi SAITO

『工房集』をご存知ですか。埼玉県南部にあるアートスタジオ・工房集は、アートを仕事にしている障害者の施設です。マキイマサルファインアーツでは、昨年に引き続き、工房集関連の展覧会を開催します。素晴らしいアーティストを大勢輩出している工房集。今回は、その中から2名を紹介します。ひとりは、工房集設立のきっかけともいうべき佐々木省伍、いまひとりは、文字をドローイングし独自の絵画空間をつくる齋藤裕一です。 今展は、描くことの根源性を感じさせる川口太陽の家/工房集の二人のアーティスト佐々木省伍・齋藤裕一の展覧会です。彼らは特別な美術教育を受けたこともない、また特別美術に興味があるわけではないが、生きていることからの内的欲求によって導かれ、表現しているアーティストです。描くことは生きること、そして自らを救い、他者と出会うことができる行為です。彼らの作品は、そんな描くこと、表現することの原点、そして生きることの肯定性を充分に感じさせてくれます。 今回、齋藤は水戸芸術館企画「ライフ」展出展作品より、佐々木は数々の企画展で展示した中から、選りすぐりの作品を展示します。

佐々木 省伍 Syougo Sasaki
佐々木省伍の絵画は、主に透明水彩やクレヨンによって、人間の顔や植物が、ユーモラスかつ抽象的な形態で表現され、不思議な浮遊感を感じさせてくれます。それは人類の遠い記憶であり、未齋藤裕一「ドラえもん」佐々木省伍「ドーナツ」来につながっていく普遍的なイメージの断片です。その画面は力強い筆圧、ダイナミックで緻密にコントロールされた画面構成、そしてリリカルで透明感のある色彩感覚に溢れ、描くことの快楽と同時にその切実さを、強く見る側に意識させます。佐々木は工房集が設立される以前から、母体である川口太陽の家で制作し、工房集設立の契機をつくり、支えたアーティストのひとりです。
1997埼玉県展入選、「このアートで元気になる エイブル・アート'99」東京都美術館、スーパーピュア2001「アートはバリアを越える」 横浜市民ギャラリー(神奈川県)、「魔術師の絵具箱さきたまの画家たち」 もうひとつの美術館(栃木県)、「太陽の家 工房集展」川口市立アートギャラリー・アトリア(埼玉県)など様々な企画展に参加しています。さいたま新都心・ラフレ埼玉に作品収蔵。

齋藤 裕一 Yuichi Saito
齋藤裕一は、お気に入りの言葉を繰り返しドローイングすることによって、魅力的で奇妙な絵画空間をつくるアーティストです。その刻まれた文字は単なるコミュニケーションのためだけの記号ではなく、漢字学者・白川静氏が論じているような文字本来の呪術性が浮かび上がり、現代では失われつつある言語・文字の根源的な力を意識させます。彼の線の持つ緊張感と空間の美しさは、他に比類がなく、まるで音楽のような響きを伴って、見る人を画面に引き込みます。齋藤は、「絵画」と「書」の間を横断し、越えていくことができる根源的な力を持っている、本当の意味でオリジナリティに満ち溢れたアーティストです。
アート業界内での評価も高く、水戸芸術館「ライフ展」、滋賀県立近代美術館「アールブリュット展」、日本にヘンリー・ダーガーを紹介した小出由紀子事務所での個展など数々の企画展に出展。また、アメリカのいくつかのグループ展に招かれ、今年はパリやニューヨークでの展覧会が決まり、独特なアーティストとしての道を歩んでいます。

※全文提供: マキイマサルファインアーツ

最終更新 2010年 2月 19日
 

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