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池原悠太:断片が紡ぐ夢
Events
Published: January 23 2014
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一瞬の永遠
1300×1820mm
インクジェットプリントを木製パネルにフロッタージュ・メディウム・ラメ
2013

2014年1月31日(金)から2月12日(水)までの12日間、gallery nearにて、池原悠太 展「断片が紡ぐ夢」を開催いたします。
自身で描いた個々のアナログ素材を、デジタル上で組み合わせ配置することで、独特な世界観を生み出す池原悠太は、2010年に開催した初個展 から作家活動を本格化し、「ART OSAKA 2010」(大阪・堂島ホテル)をはじめ、翌年2011年には同じく「ART OSAKA 2011」(大阪・ホテル グランヴィア大阪)、「ART KYOTO 2011」(京都・ホテルモントレ京都)といった関西の様々なアートフェアに出展するなど、一気に注目を集めました。 また、2012年には、国際芸術祭「BIWAKO BIENNALE 2012」(滋賀・近江八幡)、2013年には「京都アートフェア2013」(京都・みやこめっせ) 「HANARART2013」(奈良・郡山)に出展するなど、年を追うごとにその注目度を増している、期待の作家の1人であります。 2013年2月には弊廊での個展を開催し、盛況のうちに幕を閉じました。その独自の技法において表出される画面、世界観を存分に発揮した空間は 多くの鑑賞者を魅了し、評価する声も多く聞かれました。屏風の大作や映像作品を展示するなど、池原の多岐にわたる作品群を生かし、活動当初 からの集大成とも言える空間を構築した前回の個展から約1年。本展において、池原はどのような展開を見せるでしょうか。 過去に池原が描いてきた画面は、荒廃した街並みや錆び付いたような質感に溢れ、一見、悲観された絶望の世界が映し出されているように感じられ ました。混沌と閉塞感に満ちた現代社会の中で、傷つき、すり減り、大きな不安と共に過ごしていく日々の中から見出される「本当に大切なもの」を 描こうとする姿勢は保ちつつ、2013年の半ば頃より制作された近作では、白を基調とした画面の中にキラキラとした鮮やかな色使いが見られ、 薄暗く退廃的な印象は和らぎ、雲間から光が差すような、視界が開けるような明るさを纏った「陽」の印象を受ける画面が表出されております。 弊廊での企画展「tokonoma展」でも出展された作品「それでも変わらない場所」(2013)では、神の化身であるかのような鹿が画面中央の水面に 佇み、まるで極楽浄土を思わせる広大な世界を描いているようにも見え、生命体に宿して内包し続けてきた希望は、より鮮明に画面上に表れつつ あるのではないでしょうか。 池原の技法はとても特徴的で、記憶の中にストックしてきた様々な素材(風景や生物、心象など)を「手描き」で表現することからはじまります。 それらアナログ素材をデジタル処理し、コラージュのように組み合わせることで、リアリズムとフィクションを融合した、幻想的な世界観を生み出して おります。今まで培ってきたそれらの技法に加え、現在ではフロッタージュという技法からヒントを得、更に発展させた転写技法を用いることで特異な 画面を表出しております。フロッタージュとは「こすり絵」「摩擦画」とも言われ、物体の粗い表面に紙などをあて、鉛筆や筆でこする技法を指します。 池原はこの技法をヒントに転写表現にまで昇華し、画面に取り入れることで、アナログとデジタルとの境界に果敢に挑み、他に類を見ない唯一の 表現を追求しております。 本展は、2013年に制作された近作を中心に新作も交えて構成され、大小様々な作品群が展示されます。現実世界とリンクするように投影される 断片的な夢の中の世界は、何ものにも邪魔されずに自己との対峙を図れる唯一の場所とも言えるのではないでしょうか。本人でさえ、選び取った意志が 真実か否かは、自らも偽るような虚栄心で満ちたこの現実世界では判断できるはずもなく、本当の意味での「真実」は、選択した本人の夢の世界に しか存在し得ないのかもしれません。我々は、本展の池原が紡ぐ夢の中の世界を通して、フィクション(虚栄)の中に潜む、リアリズム(真実)を見つめる ことの大切さに気付かされるのであります。

gallery near 延近 謙

[作家コメント]
誰もが夢を見る。
見覚えのある景色や、慣れ親しんだ路地が映し出されることもあれば、出会ったことの無い人や、想像もし得なかった体験に出会う
こともある。個々の記憶や経験、万人に共通する無意識、それらを混合して構築された世界。
一見、現実とは対を成し隔離されたもののように見えるけれど、実際は、現実世界での経験や思考が投影されているのではないだろうか。
誰にも侵されず、意識だけが存在する無防備な夢の中の世界は、自身の奥底に秘められた真実と向き合える場所なのかもしれない。

[作家プロフィール]
池原 悠太| IKEHARA Yuta
1987.11.25 生まれ

【 主な個展 】
2013 「不揃いの接続」/ 京都・gallery near
2011 「こぼれ落ちていくもの」/ 大阪・乙画廊

【 主なグループ展 】
2013 奈良町屋芸術祭「HANARART 2013」/ 奈良・郡山
アートフェア「京都アートフェア2013」/ 京都・みやこめっせ・三条祇園画廊
2012 国際芸術祭「BIWAKO BIENNALE 2012」/ 滋賀・近江八幡 小田邸
2011 企画展「六甲ミーツ・アート関連企画 アートマーケット」/ 兵庫・ホール・オブ・ホールズ六甲
アートフェア「ART OSAKA 2011」/ 大阪・ホテルグランヴィア大阪・乙画廊
アートフェア「アートフェア京都」/ 京都・ホテルモントレ京都・三条祇園画廊


全文提供:cafe dining near ∽ gallery near
会期:2014年1月31日(金)~2014年2月12日(水)
時間:12:00 - 22:00 ( 最終日は17:00まで )
休日:木
会場:cafe dining near ∽ gallery near
Last Updated on January 31 2014
 

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