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展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 6月 01日 |
名和晃平《Line Fragment #30》2008年 アート、あるいは美術という仕組みの中にはコンセプトやルールのようなものは確かに存在しますが、それを操る創造の言語は一般的な概念を軽々と超越していきます。鑑賞者との距離をはかるように近づいたり、離れてみたり、行ったり来たりする・・・。作品とのそのような対話の中で、アーティスト達の様々な創造言語が、限りなく広がりを持つものであると感じさせられることでしょう。 本展覧会で特に注目される作品は、日本のアヴァンギャルドアートからペインティングをリードしてきたアーティストである中西夏之の60年代と80年代に描かれた貴重なペインティング2点です。静かな反逆性を秘めた迫力あるキャンバス作品は鑑賞者の心に強い印象を残します。 また、東京都現代美術館にて6月11日より個展開催予定の名和晃平は、未発表作のドローイングシリーズ Line Fragment を展示。作家自身が独自に開発した機械を使用したり、身体を大きく使って絵の具を持つ腕を多様に動かしたり、または風で飛ばされた絵の具を紙に受けたり、と様々な方法を取り自分の意思とは別の力をも利用し描かれています。移動しゆっくりと乾いていった顔料により、アーティスト本人のコントロールと偶発的な力が拮抗することで、動きのある描線が自由闊達に画面を覆っていきます。 デンマーク出身の作家イェッペ・ハインは、鏡の反射や光と影を利用し、鑑賞者と作品、空間との位置関係や距離感を縮めたり伸ばしたり、回転させたりするコミュニケーション型の立体作品をつくります。現在、金沢21世紀美術館で個展「360°」を開催中(会期:8月31日まで)です。 ロンドンの大和ジャパンハウスにて個展が開催されている若手作家の川上幸之介は、アクリルをベースに、コラージュを施したペインティング手法で、キャンバス上に幻想と現実の狭間の様な風景を描きだします。その他、日常生活の切れ端に現代社会における問題を映し出すブライアン・アルフレッドのペインティングや、横浜トリエンナーレに出展予定の嵯峨篤による、ひきこまれそうな程に黒い平面作品等も同時に展示いたします。 この展覧会では、鑑賞者と様々な作家達による作品との対話があり、同時にバリエーション豊かな作品同士の間でも対話が生まれ、規定の美術史的概念を越えた新たな空間を体験できることと思います。 出展作家 ※全文提供: SCAI THE BATHHOUSE 会期: 2011年6月3日(金)-2011年7月2日(土)12:00 - 18:00 |
最終更新 2011年 6月 03日 |