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国本泰英 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 4月 09日

Sight #1
2014
35 x 70 cm
acrylic on canvas

このたび、BASE GALLERYは下記の要領で国本泰英展を開催いたします。

国本は主として人の群れを描いてきた。
群像の一人一人は全く表情も、固有の色彩も持たない。
まるで影のように描かれるが、輪郭は小さなぶれを帯びて、確かなようでどこか儚げに見える。
広場、交差点、街角、日々の暮らしはほとんど群れの場所で営まれると言っていい。
私たちは自宅の玄関を確かな「個」を抱えて出かけ、街角や広場で人に紛れて顔を喪失する。
私たちは確たるはずの個と名状しがたい何かとの間を往還する存在だ。
その対象を筆で描くというより、むしろ画布に染みていくような表現で国本は描く。
こうした定かならぬ場所を行き来する素性には描く手跡は不要なのだろう。

本展は国内各地で多数の発表をし、海外でも多くのコレクターを持つ国本の2 度目の個展になります。

[作家コメント]
私は自身の生活を取り囲む情景や、インターネット、雑誌などで得た様々な
イメージの中から人の群れを描き出す。

連なる行列、行き交う交差点、広場。
そこではいつも私たちは群像の一員である。

「個」としてここにいる私は、時に群れとなって声や癖、表情、そんな固有の
要素を削ぎ落とされ、フラットな「人」へと変移していく。
私たちはそんな「個」と何物でもない「何か」との間を往還する存在だと思う。

周囲の風景も同じだ。揺れながらすべてを融かし、はぐらかす。
だから木立が揺れて立ち尽くすように、月明が意志なく静かに光るように、
曖昧な存在としての「人」を私は布に染み入るように描き出す。

何者でもなく、ぶれながら群れて列を為す、染みるように描かれた私の「人」
は、いずれ見る人の手元に「個」となって戻ってくるはずだ。

国本泰英

オープニングレセプション:4月11日 18:00 - 20:00


全文提供:ベイスギャラリー
会期:2014年4月11日(金)~2014年5月12日(月)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・祝
会場:ベイスギャラリー
最終更新 2014年 4月 11日
 

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